接触問題解析プログラムTED/CPA
TED/CPA計算例
34. 片当りするピストンの粗さを考慮した流体潤滑の計算
 1. DRYの接触セッショク圧力アツリョク分布ブンプの計算
片当りするピストンの粗さを考慮した流体潤滑の計算例を示します。
軸方向に移動する滑り軸受構造の計算です。
形状は下図の通りです。
Xの負側に 10 MPa、正側に 0 MPaの圧力が掛かっています。
X=50の位置に100 N の荷重が掛かっています。
この荷重による接触部の−Y軸回りのモーメントM は次のモーメントの釣合い式から求められます。
M − 50・100 = 0
下図のH0とβ1を調整して荷重とモーメントの釣合い位置を求めます。
粗さを考慮した計算です。−Y軸回りのモーメントによってピストンがシリンダーの壁に強く片当りするため、
粗さの山と山が接触して固体接触します。
ピストンを静止させ、シリンダーを Vx=1000 mm/s または−1000 mm/s で移動させます。
Vx=1000 mm/sの時、動圧によってピストンが浮上し、ピストンの左上の角が強く当ります。
Vx=−1000 mm/sの時は、逆に動圧によってピストンの右下の角が強く当ります。
シリンダー側に1mm厚の鋼の薄層を付けて薄層の弾性変形を考慮しています。
滑り軸受け構造では半無限体近似による弾性変形を考慮することはできません。
テキスト ボックス: 計算の結果、次のようになりました。 

H0 = 0.00942028 mm     ( Vx= 1000 )
        0.00984475 mm     ( Vx=-1000 )

β1= -0.0456342 deg    ( Vx= 1000 )
        -0.0468003 deg    ( Vx=-1000 )

固体接触圧力 = -456.050 N  ( Vx= 1000 )
                         -127.301 N  ( Vx=-1000 )
テキスト ボックス:  ヤング率  (軸、軸受)     E = 206000  MPa
 ポアソン比(軸、軸受)    ν= 0.3
 垂直荷重                       Fz = 100    N
 モーメント                       M = 5000    mm・N
 速度(ピストン)          Vx = 0       mm/sec
 速度(シリンダー)      Vx = 1000または−1000  mm/sec
 常圧粘度           η0 = 1.0D-8  MPa・sec
 圧力粘度係数       α = 0.01     MPa-1
 等価2乗平均粗さ      Rσ = 1     μm
速度 Vx が 1000 mm/s の場合と -1000 mm/s の場合を比較して示します。
総圧力Pz(流体潤滑圧力Phdと固体接触圧力Pscの和)の等高線図は次の通りです。
シリンダー速度が Vx = 1000 mm/s のとき動圧によるピストンの浮上量が大きく、このためピストンの
左上が右下よりも強くシリンダーと接触します。速度が Vx = -1000 mm/s のときは逆にピストンの右下
が強くシリンダーと接触します。
Vx=1000の最大面圧は 117 MPa、Vx=−1000の最大面圧は 93 MPaです。
Y軸方向は周方向ですから下図赤色部が計算条件図のピストンの左上部に相当します。
総圧力Pz(流体潤滑圧力Phdと固体接触圧力Pscの和)のメッシュ図は次の通りです。
ピストンの右下の固体接触の違いが分かります。
油膜厚さ H の等高線図は次の通りです。
流体潤滑圧力Phdの等高線図は次の通りです。
固体接触圧力Pscの等高線図は次の通りです。